脳卒中(脳血管障害)は、冬に多いというイメージがありますが、国立循環器センターの調査では脳卒中(特に脳梗塞)は夏場に多く発生することがわかっています。
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり、破れたりして、その先の細胞に栄養が届かなくなり、細胞が壊死を起こす病気です。発症した場合、たとえ一命を取り留めても、重度の後遺症を残す人も多く見られます。また、寝たきりなど重度要介護の原因の4割、認知症の原因の3~4割は、脳卒中がきっかけとなっています。脳卒中は血管が詰まる「脳梗塞」と、血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分けられます。冬は血管が収縮し、血圧が高くなりやすいため、血管が破れやすくなります。一方、夏は血液中の水分が不足し血液がドロドロになり、血の塊(血栓)ができやすくなります。そのため、冬は「脳出血」「くも膜下出血」が起こりやすく、夏は「脳梗塞」が多くなります。
脳梗塞の前兆
脳梗塞の前兆として「一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)」が挙げられます。症状としては、
・右側または左側がしびれる、または力が入らない
・ろれつが回らない、言葉が出ない
・めまいやふらつき
・片側の目が見えにくくなる
などがあります。
これは小さな血栓が一時的に血管を詰まらせることによって起こる症状です。症状の持続は時間にして数分~数十分で、しばらくすると改善します。そのため、放置する人が多いのですが、これが事態を悪化させてしまいます。
脳梗塞の予防
脳梗塞が起こりやすいのが夏場の睡眠中と起床後2時間以内です。これは起床時には血圧が上昇するためです。そのため、就寝前と起床時にコップ1杯づつの水を飲むことが脳梗塞予防につながるといわれています。
また、夏の高温多湿の中にいると脱水症状を引き起こしやすくなります。これは、血液の流れを悪くして血栓ができやすい状態といえますので、適度な水分補給を心がけてください。特に暑い際は、冷房をうまく活用して無理なくすごすことをお勧めします。夏の脳梗塞の予防は熱中症予防と通じます。
その他、脳梗塞は発症は加齢や生活習慣とも深く関わっていますので、食事は塩分や脂質、エネルギーをとり過ぎない、運動を日常生活に取り入れる、禁煙する、お酒は飲み過ぎないなど、生活習慣を改善することが大切です。