私たちの体内にある血管には動脈と静脈の2種類があり、動脈は心臓からの血液を送り出し、静脈は汚れた血液を心臓に戻す働きがあります。
後者の中でも、足の静脈は重力に逆らって血液を下から上に送る特別な働きをしており、逆流を防ぐために弁が発達しています。下肢静脈瘤とは、この弁が壊れることにより、血液が逆流、足の静脈が膨れてコブのようになる病気です。
40歳以上の女性に多く見られ、患者数は1 0 0 0 万人以上とも。遺伝や出産、長時間の立ち仕事によりなりやすく、出産経験のある女性の2人に1人が発症するというデータもあるほど身近な病気です。
血管や皮膚が浮き出て足の見た目が悪くなる他、汚れた血液が足にたまったり、静脈の中で圧力が高まることで様々な症状が表れます。
下肢静脈瘤の症状
- 足の血管が浮き出て見える
- ふくらはぎがだるい・重い
- 足がむくむ・ほてる
- 足がつる
- 足がむずむずする
- ふくらはぎのかゆみ・湿疹
- くるぶしの上の色素沈着
- くるぶしの上に潰瘍ができる
下肢静脈瘤の症状のほとんどがふくらはぎに起こります。また、血液がたまって起こるため、午後から夕方に症状が強くなるのが特徴。慢性的なだるさやむくみのほか、まれに湿疹や皮膚が破れる潰瘍ができます。
下肢静脈瘤の治療
下肢静脈瘤は急に悪化したり、命の危険になることはありません。しかし、進行性の疾患ですので、自然に治ることはありません。辛い症状がある場合や、患者の年齢や生活習慣によっては早めの治療が必要です。
下肢静脈瘤は見た目から4つのタイプに別れ、凸凹と皮膚の表面が大きく盛り上がる「伏在型」、その他、血管が浮き出る形によって違う「くもの巣状」「網目状」「側枝型」があります。
一般的に症状があり、治療が必要になるのは「伏在型」。診察するのは、主に血管外来ですが、心臓血管外科、血管外科、病院によっては一般外科、皮膚科、形成外科などでも診療を行っています。
治療は弾性ストッキングを使う圧迫療法、注射で静脈を固める硬化療法、そして手術とありますので、気になる方は受診をおすすめします。