死因としてよく耳にする「心不全」。これは厳密には病名ではありません。
心臓に異常がありポンプ機能が低下、全身に 十分な血液を送りだせなくなった「状態」のことを言います。様々な心臓の病気や高血圧などが原因で、心臓に負担がかかった場合の終末像。超高齢化社会が進む日本で、急増している心臓トラブルです。
急激に心臓の働きが悪くなる「急性心不全」と心不全の状態が続く「慢性心不全」があります。患者数は全国で120万人に上るとされ、高齢になるほどなりやく、今や慢性心不全の患者のうち約70%は65歳以上といわれています。
根本治療が難しいため、日本ではこの問題を重視、平成28年には75歳以上の高齢心不全患者を対象にした治療指針がつくられました。
高齢者に多い慢性心不全
心臓には、血液を送り出すための「収縮機能」と、全身から戻ってきた血液を取り込むための「拡張機能」があります。
最近の研究により高齢者の心不全の半数は、後者が低下した「拡張不全」タイプであることがわかりました。
血液の流れが悪くなるため、むくみなどの症状が起こりやすいといいます。
慢性心不全の多彩な症状
心不全は進行すると治療が難しいため、早期発見・早期治療が大切です。些細な症状でも「年のせい」にせず、心不全の初期サインかもしれないと疑いましょう。心臓の病気など様々な原因があるため、多彩な症状が現れます。
- 息切れ
- 短期間での体重増加
- 呼吸困難
- 食欲不振
- 咳
- 夜間の頻尿
- 動悸
- 疲労感
- むくみ
- 四肢の冷感
高齢者の慢性心不全の対策
慢性心不全で入院を繰り返すと、その度に筋力や気力がなくなり、退院後の生活が困難になります。そして要介護など重大な状態になる危険も増えてしまいます。
そうならないためには、心不全の原因となる病気や生活をコントロールしていくことが大切です。心不全を誘引する病気を持つ人は特に気をつけましょう。
心筋梗塞や弁膜症、不整脈など心臓に関する病気、また高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病などの治療を怠らないようにします。
また、日常生活も大きく関係します。喫煙、過度の飲酒、塩分の取りすぎ、運動不足、ストレスなども心不全を起こしやすい要因となります。
やはり、病気と向き合いながら、健康的な生活を送ることこそが長生きの秘訣なのです。