死亡や後遺症のリスクが高い脳卒中。その患者数は現在約百二十万人と言われ、がん、心臓病、肺炎に次いで日本における死因の第4位となっています。
脳卒中とは脳細胞が破壊されてしまう病気の総称であり、大きく分けて二つのタイプがあります。
血管がつまる「脳梗塞」、そして血管が破れる「脳出血」や「クモ膜下出血」。
冬に多くなるのは後者の血管が破れるタイプの脳卒中とされています。
《脳出血》
脳の中の細かな血管が破れて出血、脳を圧迫します。時間がたつにつれて血腫の周りがむくむことで脳のダメージが大きくなります。
突然の頭痛、嘔吐、半身のまひ、しびれ、ろれつが回らない、言葉が出ない、歩けない、ものが二重に見えるなど、様々な症状が出てきます。
《クモ膜下出血》
脳の表面の大きな血管にできたこぶが破れてクモ膜の下に出血します。大量の出血が広がり脳全体が圧迫され、意識が低下したり、昏睡状態に陥ることがあります。
バットで殴られたような激しい頭痛に襲われ、吐き気や嘔吐を伴う場合も。
脳出血・クモ膜下出血の原因
最大の危険因子は高血圧です。高血圧が続くと脳内の動脈に絶えず高い圧力がかかるため、もろくなると言われています。クモ膜下出血を引き起こす血管のこぶは先天性が多いとされますが、高血圧によって大きくなり危険が高まります。
冬に出血による脳卒中が増える原因も血圧が関係しています。屋内と屋外、お風呂場など寒暖の差が激しくなると、人は体温を維持しようとして血管を収縮・拡張させるため、血圧の急激な上昇と下降が起こります。それが出血の危険につながるのです。
脳出血・クモ膜下出血の対策
高血圧の人はその治療や血圧管理が最優先です。その上で、寒い冬は家の中の寒暖差ををなくす、屋外に出るときは暖かい服装を心がけるなど、体が感じる寒暖差をできるだけ減らすことが大切です。
もしも万が一、脳出血やクモ膜下出血が起きてしまったら…一刻も早く病院に行きましょう。特に脳出血を起こした場合は、意識を失って倒れる前に判断が難しい症状から始まることが多くあります。
- ろれつが回らない
- 視野が半分になる
- 麻痺やしびれ
- バランスが取れない
- 意識が朦朧とする
こうした症状が出て、原因が思い当たらない場合は、たとえ症状が治まったとしても必ず早急に受診しましょう。