人間には1日周期でリズムを刻んでいる「体内時計」が備わっており、体温や血圧、睡眠などを整えています。そのため、人間は意識しなくても日中は活動的に、夜間は休息状態に切り替わります。体内時計の中枢は脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」にあります。また、脳以外でも、皮膚、臓器、血管など様々な部位に体内時計は存在します。通常は、太陽の光を浴びることによって体内時計は調整されるのですが、不規則な生活などで乱れが生じてしまうと、全身に不具合が生じるようになります。
体内時計とホルモンの関係
人間は朝太陽の光を浴びると「コルチゾール」というホルモンが分泌され活発に動けるよう体や心が調節されます。太陽を浴びてから15時間ほど経過すると、今度は「メラトニン」というホルモンが分泌され深部体温が低下して、急速に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。このメラトニンは眠りを誘うだけでなく、新陳代謝を促したり、疲労を回復させたりするため、病気の予防や老化防止に大変重要なホルモンだと考えられています。
しかし、夜更かしや暴飲暴食、運動不足など不規則な生活により体内時計が乱れると、メラトニンの分泌量が減少し、睡眠障害が発生するとともに、代謝不良などの症状も引き起こします。また、不規則な生活は自律神経にも悪影響を与え、血圧、血糖値、心臓の心拍の調整にも不具合が生じ、心臓病や高血圧の原因にもなります。その他にも、骨粗しょう症、ガン、免疫力低下、うつ、肥満などの原因となることもあります。
体内時計の乱れの原因
体内時計が乱れる原因としては、運動不足、暴飲暴食、夜更かしなどが挙げられますが、それ以外にも現代ならではの原因も考えられます。
①24時間社会
昼夜逆転の仕事のシフト、不定期の休日などによる生活リズムの変化
②夜間の光環境の変化
照明器具の進化やテレビ、携帯電話の画面など夜の光の増加
③高齢になるとホルモン生成量が減少し、メラトニン量が低下する
体内時計を整えるために
体内時計をうまく調節するには「起きる時刻を同じにする」「朝起きたら太陽の光を浴びる」「朝食を毎日とる」「夜間の過剰な光は避ける」ということが必要です。また、その他にも「昼寝は午後3時までの20~30分にする」「就寝2時間前までに食事を終える」「就寝1~2時間前にぬるめのお風呂に入る」などの方法も有効です。