逆流性食道炎とは、胃酸や十二指腸液が食道に逆流することにより、食道に炎症が生じる疾病です。もともと日本には少ない疾病でしたが、食生活の欧米化にともない増加してきました。
通常は、食道と胃の境界付近にある「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」という筋肉が食道を塞ぐことにより、胃液などの逆流を防いでいます。また、食道の蠕動運動(ぜんどううんどう・口から胃へ食べ物を運ぶ運動)も胃の内容物の逆流を防ぐ働きをしています。しかし、この働きが弱くなると食道内に胃液が入り込み不快な症状を引き起こします。
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎の代表的な症状は「胸焼け」ですが他にも症状があります。
●呑酸(どんさん)
酸っぱい液体が口まで上がりげっぷが出る場合があります。
●咳・喘息
逆流した胃液がのどや気管支を刺激して発生することがあります。
●声枯れ、のどの違和感
のどが炎症することにより発生することがあります。
また、炎症が長期続くと、最悪な場合胃がんや食道がんを発病する危険もあります
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎の原因としては以下のようなものが考えられています。
●下部食道括約筋の筋力低下
食道と胃の境界付近にある下部食道括約筋が加齢などで緩むと、胃液の逆流を抑えられなくなります。
●便秘・妊娠
便秘や妊娠で腹圧が高くなると、胃液が押し出されやすくなります。
●脂肪が多い食事
脂肪は消化に負担がかかるため、胃液が多くなります。また、ホルモンバランスの悪化を招き下部食道括約筋を緩める原因になります。
●その他
ストレス・姿勢(猫背)・肥満・ピロリ菌など
逆流性食道炎の予防
予防のためには、まず食事の見直しが大切です。脂肪、タンパク質、糖分などの過多は避けてください。肥満も胃に悪いので、食事の改善、適度な運動も大切です。
控えるものとしては、アルコール・コーヒー・緑茶などがあげられます。適量なら問題はありませんが、過剰に摂取すると筋力を弱めたり胃酸を増やしてしまいます。その他、禁煙、正しい姿勢(特に食事中~食後)なども効果的と言われています。