アンズの原産地は、中国北部地方です。日本には「本草和名(918年)」や「和名抄(932年)」のように古い本草書に出てくるので、遣唐使、遣隋使の持ち帰った薬木といえます。原産地が比較的寒い地域ですから、日本でも北地にて栽培されています。
形態は梅によく似ています。樹皮は褐色で細かい割れ目があります。開花は梅より送れて咲き淡紅色です。果実は熟すと黄赤色となります。表面には紫褐色の斑点があり、果肉は黄赤です。
6月頃に種子を集めて天日で乾燥させます。乾燥したものが生薬の杏仁です。杏仁はアミグダリンを含むため喘息や一般の咳、また呼吸が苦しいときによいといわれています。使用に際しては、専門家に相談するか、指導を受けるとよいでしよう。
また、疲労や咳・痰に「杏酒」がよいといわれています。果実をよく水洗いしてから水気をよく取り、約500 gに砂糖半量を入れホワイトリカー1升に漬けます。冷暗所で約3ヶ月熟成させると、美しい琥珀色の杏仁臭を持った杏酒ができます。