クリは日本と朝鮮半島に分布し、各地に固有の品種が多く見られます。栽培品種の多くは、野生のクリや実生の栽培樹により新品種を育種し、接木栽培したものです。害虫のクリタマバチが新梢に産卵、寄生し枯らすため、現在はクリタマバチ抵抗性の品種が栽培されています。
クリは山野に見られる普通の落葉性の高木で、高さ10~15メートルくらいになります。樹皮に深い裂け目があり、葉は皮針形(ひしんけい)で2列に互生し、側脈は平行に斜上し、波状の針状鋸歯(きょし)があります。クリとよく似たアベマキやクヌギでは鋸歯の先端まで葉緑素を含むため鋸歯は茶褐色で、葉緑素を含まないクリと区別できます。
6月ころに枝梢に黄白色の細長い花穂(かすい)を垂下し、開花すると特異な臭いを放ちます。花穂の雄花は先端部に、雌花は基部近くにあり、1花序中に雌雄両花を混生します。ガマ、シュウカイドウなども同様です。花後、雌花の総苞片(そうほうへん)がしだいに生長して果実を包み、毬(イガ)となります。熟すと毬は4裂して果実を落とします。渋皮(種皮)は胚珠(はいしゆ)の珠皮が成長したものです。薬用に樹皮と毬を秋に採取し、風通しのよい所で日干しにします。葉は成分の充実している真夏にとり日干しにします。