坐骨神経とは脊髄から延びている末梢(まっしょう)神経の一つで、脳からの命令を足先まで伝えたり、足の先の感覚を脳に伝えたりするのに重要な役割を果たしています。その坐骨神経が何らかの原因により圧迫されたり損傷して発生する「神経痛」のことを坐骨神経痛とよんでいます。これは、症状の名前であって、病名ではないので原因は様々です。
坐骨神経痛の症状と原因
坐骨神経痛のもっとも多い症状は、お尻太ももの裏、すね、ふくらはぎなどに発生する「痛み」です。また、痛みを放置すると、しびれや歩行障害にまで発展することもありますので注意が必要です。また、その他にも「足のほてり・冷え」「足のひきつれ」など痛み以外の症状もあります。坐骨神経痛の原因は様々なものが考えられます。
【脳疾患】
坐骨神経ではなく、大元の脳の病気(脳腫瘍など)によって症状が現れることがあります。
【神経の病気(多発性硬化症など)】
神経が圧迫されるのではなく、神経そのものに問題がある場合があります。
【脊髄の病気】
ヘルニア・骨折・骨の変形・腰椎すべり症などにより、坐骨神経が圧迫されて発生します。
【梨状筋(りじょうきん)症候群】
梨状筋とは、お尻の奥にある筋肉で、この筋肉が外傷を受けたり、緊張、弱化、萎縮したりすることに痛みが発生することがあります。
【感染症】
ウイルスやバクテリアの感染によって髄膜炎を発症し痛みが出る場合があります。
【その他】
けが・妊娠などにより痛みが発生する場合もあります。
坐骨神経痛の予防
坐骨神経痛を予防するには、まず腰に負担をかけないことが大切です。また、体操も効果的ですのでいくつかご紹介します。
①仰向けに寝て両膝を軽く立てます。息を吐きながらおへそを見るようにゆっくりと上半身を起こし5秒保ちます。その後ゆっくり上半身を下ろします。
②仰向けに寝て両膝を軽く立てます。手は横に開いて床につけ、息を吐きながらお尻と背中を持ち上げ5秒保ちます。その後ゆっくりと下ろします。
③仰向けに寝て両足を伸ばします。片方の足を両手で抱え、ひざを胸のあたりまで引きよせます。10回ほど繰り返し反対側の足も同様に行います。
④仰向けに寝て、左手で右足の外側を持ち、そのまま左の床に足を倒します。10秒ほど保ったらもとに戻し、反対の足も同様に行います。
ただし、これらの運動は無理がないように行ってください。痛みがある場合は無理をせず、必ず医師にご相談ください。